朝ドラ・ウオッチング

 NHKの朝ドラを楽しみにいそいそとTVの前に座る時、おばさんになったとつくづく思う。1999年の「私の青空」以来はまり出したので、もう10年も朝ドラ・ウオッチングを続けていることになる。若い頃は、母のこの日課をまるで理解できずにいたが、来し方が蓄積してくると、ついつい、我が身の半生と引き比べ、感情移入したり応援したりしてしまうようになるのだろうか。
 もちろん、朝ドラそのものの歴史はもっと長く、かれこれ数十年に及ぶ。この期間、一貫してテーマは「家族愛」なのであるから、ワンパターンぶりも素晴しい。もう一つのテーマである「女の半生」は、半生というほど長い期間を扱わない作品もあったり、僅かだが男性を主人公にしてみたりしたこともあるので、必ずしも一貫していない。
 しかし、ワンパターンではあっても、作品により、出来・不出来はある。私見を述べれば、この出来・不出来を決定する要因の一つは、主人公たち以外の脇役たちが、いかに血と肉をもって生き生きと描かれているかであろう。
 「私の青空」では、大間の漁師仲間や管理栄養士の星小百合さんなど、素晴しかった。「ちゅらさん」も、アパート(名前を忘れてしまった)や沖縄料理店「ゆがふ」に集う人々が生き生きしていた。反対に、「わ××」や「××ト」「風××××」などは、まるでつまらなかった。脇役のみならず、主人公たちまで魅力がなかった。
 で、現在の「ちりとてちん」は、かなり気に入っている。料理屋の面々の人生がもっと描かれていれば言うことなしなのだが、そこは残念。しかし、福井の幼馴染のA子一家や、徒然亭一門の弟子一人一人は、よく描けている。また、劇中劇で入る古典落語も面白い。主演の女の子も表情豊かで、可愛い。映画「スウィング・ガール」に出ていたと聞いて、昨夜、ビデオを見てみた。「ちりとてちん」の彼女のほかにも、「てるてる家族」の秋ちゃんや、「××ト」の優ちゃん、あと、何だっけ、篤姫の夫の味噌屋の跡取り息子など、朝ドラ同窓会のようだった。前作の(面白くなかった)「×××晴れ」で、若女将争いを主人公と繰広げた彼女も、ブラバンの先生役で出ていた。
 朝ドラのつまらない半年は、朝起きる張り合いがないが、面白い時は、終わりが近づくのが無性にさびしい。