あかでみっく・じゃぱにーず

 三宅先生も編著者の一人でいらっしゃる『アカデミック・ジャパニーズの挑戦』(ひつじ書房)を読んで,がーんと衝撃を受けています。

 「アカデミック・ジャパニーズ」という言葉はそもそも,日本の大学で学ぶことを希望する非母語話者の学生に,「大学での勉学に必要な日本語力」が備わっているかどうかを測る試験のために使われ始めました。私はひねくれ根性を発揮し,日本語学習者はエリート留学生だけじゃない!と反感をおぼえたりしていました。

 しかし,この本のいう「アカデミック・ジャパニーズ」とはそうではないのです。日本語母語話者であれ非母語話者であれ,「社会で自律した市民として生きていくため必要なことばの力」,これを「アカデミック・ジャパニーズ」と呼ぼう,というのです。そして,ことばの教育に携わる者たちが,それぞれの現場で,新たな試みに挑戦していこう,というのです。


 読みながら思ったのは,通信で学ぶ皆さんにこそ,「アカデミック・ジャパニーズ」のスキル(技術)をお伝えするべきではないのか。本を読め,レポートを書け,発表をしろ,論文を書け。皆さんが高い能力を持っていらして,そつなくこなしてくださることをいいことに,そのあたりの基礎的なことをきちんと伝授していない!!!

 レポートや論文を書くうえで定評ある本をご紹介します。お役に立てば幸いです。

木下是雄『理科系の作文技術』中公新書
二通信子・佐藤不二子『改訂版 留学生のための論理的な文章の書き方』スリーエーネットワーク
大島弥生・池田玲子・他『ピアで学ぶ大学生の日本語表現−プロセス重視のレポート作成』ひつじ書房