おつかれさまです

 最近の若い人たちの間では,出会った時の挨拶として,「こんにちは」などに代わり,「おつかれ!」「おつかれです!」「おつかれさまです」などという表現が用いられているようです。街で携帯電話などに耳をすませてみると,たしかに,開始の挨拶に「おつかれ!」と言っているようです。皆,そんなに疲れているのね。。。24時間戦って,もうへろへろ,といった感じを受けます。


 気楽な,でも一応仕事がらみのメールの時,「拝啓」とか「盛夏の候」とか使うほど堅苦しくはなくて,でも友達じゃないから一応何かメールのはじめに一言挨拶を書かなければ,という時,私は,「お世話になっております。」と書いています。しかし,最近気をつけてみると,「授業おつかれさまです」のような挨拶表現入りのメールを,受け取るようになりました。私の観察では,30代以下の世代が,こういう「おつかれ」系挨拶を使っているように思います。40代以上は,「お世話」系。30代以下も,相手の年齢に応じて,使い分けている人もいるようです。


 上司が先帰る時,部下は,「ご苦労様でした」とか「お疲れ様でした」とか言っていいとかいけないとか,目下は目上をねぎらってはいけないとかいいとか,言葉は,文法的な正誤より,場面や相手による使い分け,すなわち運用面のほうが,はるかに難しいと思います。文法的な間違い(「に」と「で」が違うとか,「は」と「が」が違うとか,「て形」の作り方が違っているとか)は,間違えたからといって,それが人格面の評価にまで及ぶことはありません。しかし,運用面は,間違えると,相手の感情を害したり,「礼儀を知らない」「ことばづかいを知らない」「常識がない」などと,人格面にマイナスのレッテルを貼られてしまいます。そして,さらに厄介なことに,この運用面には確固たる「正誤」の基準がなく,「人によって感じ方がちがう」。。。同じ表現でも,何とも思わない人と,ムッとする人とがいることです。


 私も,以前は,所謂目下からの帰り際のねぎらいには正直なところ違和感(あまりいい感じはもっていなかった)を感じていましたが,最近では,出会いの際の「おつかれ」系に,秋風が吹き抜けるように世代差を感じるようになっています。。。


 皆さんのまわりの「おつかれ」「お世話」系の分布はどうでしょうか?私の観察結果と一致しますか?