なまえ

 結婚改姓して間もない頃、書留の再配達を依頼するため、郵便局に電話しました。問われるままに、住所に続き、新しい姓名を告げた途端、局員さんいわく、「あら、女優さんみたいですね!」


 健康診断を受けに病院に行きました。「マツモトキヨシさん!」「オブチユウコさん!」看護師さんの呼ぶ声に、おや、同姓同名、と思ったのは私だけではなかったでしょう。そしておそらく私が呼ばれる際も、人々は同じように感じていたでしょう。


 旧姓は、日本でも一、二を争う多さでした。子供の頃から、必ずクラスにもう一人同姓がいました。その都度説明をしなければならない珍しい名字も大変だとは思いますが、あまりにありふれているのもつまらず、そこそこの名字に憧れていました。ベスト5に入るありふれた名字の人とは結婚しない、と決意?していたにもかかわらず、何の因果か、順位はすこし下がったものの、相変らずの多さです。加えて、私は下の名もよくあるから。。。


 日本の民法では、現在、結婚すると夫婦は同じ名字を名乗らなければなりません。慣習上、夫側の名字に女性側が変えるのが9割以上とか。それに反対し、戸籍名は変えても通称として旧姓を名乗り続ける女性も増えています。男性が改姓したり(婿養子でなく)、事実婚で改姓を拒否する人たちもいます。
 私たちも、結婚前、話し合いました。結果として多数派と同じ道を選択したのは、私にとって、結婚・退職・大学院進学がほぼ同じ時期に重なり、人生の転機だったので、新規まきなおし、リフレッシュしたかったのが理由の一つ。もう一つは、夫は自分が選択・決定した人であること。
 言い訳に聞こえるかもしれませんが、私たちなりには考えたうえでの決定でした。
 でも、日本語学習者にも言われます。「ほとんど変わっていませんね。」