喪服の制服

 ■十年前、私が大学4年生の頃はまだ「就活」という言葉はなく、しかし実態はあり、そのための服は「リクルート・スーツ」等と呼ばれていたように思います。個性だ何だと言いつつ、会社訪問の時期になると画一的な無難な服になる、と世の大人たちからは非難されていましたが、男性は紺または灰色、女性は茶系統などもあり、夏は白や水色、秋以降は焦茶・濃紺・ダークグレーというように、それなりにバリエーションはあったと記憶しています。私自身は、夏は白に紺のボー、冬は明るいレンガ色でした。(もうとっくに入りませんが、まだたんすにあります。。。)

 こんなに黒一色になったのはいつ頃からなのでしょう? 私が気付いてぎょっとしたのは昨年の春先でした。お葬式かと思いました。それにしては若い人たちの笑顔がはじけていました。新入社員たちでした。私の頃にはなかった女性用のパンツ・スーツも出て来て、あまりスカートをはかない私としては羨ましく思う面もありますが、こうなると、黒以外のスーツは気にくいだろうなあ、と思います。あらためて喪服を買う必要はなく、便利だろう、とも思いますが、一層窮屈になってしまったのだな、と、気の毒に思っています。