旅の報告(7)ロンボク編

090823-02

午後、Pergadangan(プルガダンガン)村で牛の共同飼育を見学。サフルディーさん(リーダー)、ヌラハオイさん(CBO)のお話を聞く。
 


 
 151頭の牛を、15人で飼育している。
 村で飼育していた牛をここに集めてきた。近くにギングカンという植物が育つので、それが飼料になる。基本は、それぞれが担当の牛の世話や管理をする。共通の仕事は当番制でやっている。フンは、有機農業(米、トウモロコシなど)に生かしている。また、機械を使ってメタンガスを作り、自分たちで利用している。12頭分のフンをメタンガスにする能力がある。
 サフルディーさんは、1986年より牛の共同飼育に取組んでいる。エコガスについては、2007年ボゴールに行って方法を学んだ。(共同飼育やエコガスについて国レベルの指導があるかもしれない。)この共同飼育場のノウハウは、サルフルディーさんのものである。飼育場近くに小さな彼の研究所があり、二頭ほどの牛が飼育され、牛の飼料、作物の肥料、メタンガスなどに関して熱心に研究しているようである。かつて、ジョグジャカルタ近郊のNGOのLKP2がやろうとしてうまくいかなかったことを成功させているのだ。サルフルディーさんは大変な人だと思う。
 ADBMIは、月に2回、会員のミーティングを主催している。目標を設定し、会員を励ますことなどに取組んでいる。ADBMIには今のところサルフルディーさんの持っているような技術的ノウハウが十分あるわけではないようだが、この共同飼育場が今後展開していくフィールドの一つのモデルになっているようである。


 この村には、竹細工をする人が5人いる。全員高齢の男性で、彼らが亡くなると伝統は途絶える。もし作品が欲しいなら直接注文してほしい、とのこと。伝統技術が生かされた良いものではあるが、かさばり、もろいので、フェアトレード商品には適さないと判断した。


 続いて、Tanjung luarから渡し舟に乗り、Maringkik島に向かう。どちらもADBMIの活動地域で、会計のムナンが担当者である。村のリーダーがマイクロクレジットを利用している。舟は片道約25分。行きは揺れが大きく、エニもやや酔ったようだった。
 Maringkik島は、12haの小さな土地に、620世帯1515人が密集して暮らしている。男たちは全員漁業に従事。結構良い収入になる。島の中に小学校がないこともあり、就学率は低い。一方、女性は海外へ出稼ぎに行く人が多い。80%が中東へ行く。2〜3年働き、ハッジ(メッカへの巡礼)も行い、島に帰って来るのがモデルケース。しかし、騙されたり虐待されたりするトラブルも多い。これの対処がここでのADBMIの活動の中心だが、就学率を上げるなど根本問題にも手を打つ必要があると考えている。
 また、この島は、医療皆無地域である。病気になっても対応はゼロ。医師も保健士もいない。薬も全くない。妊産婦死亡率、乳幼児死亡率は当然高い。


 織物を見せてもらった。ササックとはまた異なる、赤を基調とした島独特のもののようだが、1枚織るのに2週間かかるという布地だけなので、日常的に売れる商品にはなりにくいだろう。


 Selongの街のスーパーで、夕食と翌朝の朝食を購入。あわせて20,500ルピア(約200円)。
 ホテルに戻る。水のmandi(沐浴)だが気持ちよかった。静かで、ぐっすり眠れた。往来の車やオートバイの音も全く気にならなかった。