参考文献について(3)

2 通説・定説・一般的に認められていることには、出典を書く必要はありません
 
「動詞の活用形は、学校文法では、未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形・命令形の6つである(近藤2008, p.□□)」
 このような箇所に出典を書く必要はありません。近藤(2008)でなくても、日本語文法の本であれば皆このように書いてあるはずだからです。このように、通説、定説、一般的に認められていること、その分野でのいわば常識、誰もが認めていることは、特に出典を記す必要はありません。
 逆に言えば、その文献のオリジナルな部分をリポートに使った場合には、参考文献を明記する必要があるのです。
 しかし、参考文献のどの部分が通説・定説でどの部分がオリジナルか、その文献を読んでいるだけではなかなか判断できません。
 教科書以外に複数の参考文献を読む必要があるのは、そのためです。複数読んでいくうちに、どのような内容は共通しているか、どのような部分は少しずつ、あるいは大きく、文献によって違いがあるか、わかってくるはずです。違いのある部分については、どの根拠に説得力があり、どの根拠はさほどでもないか、判断する力もついてきます。このように、教科書や参考文献は相対化して批判的(critical)に読むことが重要です。
 1冊の本だけを頼りに、その内容を鵜呑みにして書かれたリポートが時々ありますが、それでは自分の判断力を養い、考えを深めることはできないでしょう。