「しくじるです」

 ブログの引越しにより、コメントの「荒らし」もなくなりましたが、皆さんからのコメントもぱたりと途絶え、寂しい思いをしています。よろしかったら、ぜひまたお願いします!
 夏目漱石『門』を読んでいたら、「姉さん、障子を張るときは、余程慎重にしないと失策(しくじ)るです。」というセリフが出て来ました。主人公・宗助の弟の小六が、宗助の妻の御米に向かって言った言葉です。井上史雄氏『日本語ウオッチング』によれば、「デス」の勢力圏は拡大の道を辿っているということなのですが、「動詞ル形+デス」は現在まだあまり見かけないように思います。明治の頃には、どの程度あったのでしょうか・・・? 文法に詳しい、某研究所の研究員の方々にお尋ねしてみたのですが、どなたも、「自分でコーパスを検索して調べてごらん。」つまり、まだ研究されていない部分だということでしょうか?
 動詞の、「ナイ形+デス」の拡張はすさまじく、会話での出現頻度は、従来<規範>とされてきた「書きません」「書きませんでした」より、「書かないです」「書かなかったです」の方が多用されている傾向にあるようです。また、「タ形+です」も、「ナイ形+です」には及びませんが、出現しつつあるようです。
 しかし、寡聞にして、「ル形+です」の用例や研究を知りません。どなたか、何かご存じでしたら、ご一報ください。あるいは、「青空文庫」や「太陽コーパス」などで、検索してみて、結果を教えていただけたらうれしいです。
 研究のタネは、このように、どこにでも見つかるものなのです。。。実を結ぶかどうかは別にして。