動詞の活用の補足

 コメント有難うございました。そっかあ。。。「不」があるから打消しと呼応しているつもりでいたのですが、「形」としては否定文になっていなかったわけですね。。。「意味」さえOKというなら、何でもOKになってしまうわけで、あえて、肯定・否定にこだわる必要はなくなります。例えば、「全然OK」「全然大丈夫」は、「全然問題ない」の意である、という説明をよく耳にしますが、それなら、「老婆の生死は下人の意志に全然支配されている」は、「老婆の生死は下人の意志から全然自由でない」などと言い換えられるわけで。。。現代言語学の父と呼ばれるソシュールによれば、言葉に代表される「記号」は、「対立」のシステムなのですから。(おっ、カッコいい!?)


 さて、スクーリング最終日のまとめの小論文のコメントが間もなく終わります。14日(土)お昼前くらいには、通信事務室(甫水会館1階)に預けておくことができそうです。
 それで、品詞分解・動詞の活用について、説明を若干補足したいと思います。


 名詞述語文は、例えば、次のようなものです。

(丁寧体)私は学生です。(普通体)私は学生だ。

 上記は、非過去・肯定ですが、非過去/過去、肯定/否定の4通りの形が全部であることになります。

         (丁寧体)       (普通体)
肯定・非過去 私は学生です。      私は学生だ。
否定・非過去   学生ではありません。   学生ではない。
肯定・過去    学生でした。       学生だった。
否定・過去    学生ではありませんでした。学生ではなかった。

 これらの文末の形を、学校文法では細かく助動詞等々に分解しますが、日本語教育では、まるごと、「です」「だ」のバリエーションと考え、文型として教えます。


 同様に、動詞述語文も、4通りあります。

       (丁寧体)        (普通体)
肯定・非過去 彼は走ります。      彼は走る。
否定・非過去   走りません。       走らない。
肯定・過去    走りました。       走った。
否定・過去    走りませんでした。    走らなかった。


 丁寧体の文末の形は、学校文法では、助動詞「ます」に、打消しやら過去やらの助動詞がついたものと考えます。但し、動詞の「走り」の部分は変わりません。いずれも連用形です。

 日本語教育では、まるごと、「マス形」のバリエーションと考えます。つまり、非過去/過去、肯定/否定、に応じて、「ます」が「ません」「ました」「ませんでした」と形を変える、と考えるわけです。


 普通体の方は、学校文法では、「走る」終止形、「走ら」未然形、「走っ」連用形。「ない」や「た」は助動詞と考えます。

 日本語教育では、全体を動詞と捉え、「走る」辞書形、「走らない」ナイ形、「走った」タ形、と呼びます。但し、「走らなかった」は、ナイ形の過去の形です。


 「走り(ません)」を未然形としている方が何人かいらしたので、説明不足であったと反省しました。ごちゃごちゃした説明になってしまいましたが、わかっていただけたかな。。。?