いきたいわん

 いよいよ年の瀬も押し詰まって来ました。そして今宵はクリスマス・イブ。皆様、いかがお過ごしですか?

 猛烈な勢いで年賀状を書き上げ(なせば成る)、明日からまた、たいわんたいわんいきたいわん、に行ってきます。1年ぶりです。今回は純粋に遊び、私用です。

 台中にあるD大学のM先生の、論文や授業や考え方にひかれ、初対面が去年の9月、そして去年の12月にはもう授業見学やらお宅に宿泊やらさせていただきました。そして、その経験がたいそう刺激的で面白かったので、今度は夫にもぜひ紹介したいと、またもやおしかけていくわけです。

 台湾の「国語」は、いわゆる北京官話(マンダリン)、大陸では「普通話」と呼ばれている中国語です。しかし、日本の敗戦前は日本の植民地下で日本語を国語として教育され、一方、現地の人たちの第1言語はさまざまで、多数派はホーロー語という中国南方語でした。それで、年輩の方たちは現在の「国語」(マンダリン)は話せず、一方、若い世代はすでに「国語」が第1言語となり、祖父母と孫の間に媒介言語がなくなっている。。。という状況が珍しくないようです。台湾の言語事情は、政治との関連もあって複雑なのですが、昨今、若い人たちの間にホーロー語を学ぼう、という機運が高まり、M先生のクラスでは、ホーロー語と日本語とを使って、学生たちが祖父母のライフ・ヒストリーの聞き取りを行っています。今回、その聞き取り調査に同行の機会を提供していただいたわけです。

 スクーリングで、第1言語=母語は、1番最初に身につけた言語、と説明しましたが、受講生から、2番目以降に身につけた言語が1番流暢に自然に使える場合、それが第1言語なのではないか、という質問をいただきました。たしかに、その通りです。ですので、台湾での言語調査はデリケートで、第1言語は?という問いは、アイデンティティを問うこと(中国人か、台湾人か、ホーロー人か)とかなり密接に関わってくるのです。。。

 また色んなことを教われる旅にして来たいな、と思っています。それでは皆様、お体に気をつけて、どうぞ良いお年を。年内に、もう1回くらい書きたいと思っていますが、年明けになってしまうかもしれませんので、簡単ですが、ご挨拶をしておきます。