教科書について

 朝一番、頭の最もクリアな時間に採点・添削を終了し、二番、このブログに取組んでいます。アクセス数はやはりスクを迎えるとぐっと増えますが、反応が来ないので、来週の方針はこれでいいのか、考え直すべき点はないのか、自省するしかありません。皆さんの率直なご意見をお寄せいただけると、大いに参考になります。

 時間中、教科書選定についてすこしお話しましたが、もう少し具体的に説明してみたいと思います。
 現代日本語文法の入門書・概説書はかなりの数が出ていますが、その殆どは、日本語学・日本語教育の立場からイキナリ説明されていて、皆さんがこれまで学習してきた学校文法は、あれれ? どこへ行ってしまったの? 未然・連用・終止・・・ あれは何だったの? ということが出てこないまま、テ形・マス形・辞書形、などという言葉が出てきてしまいます。学校文法を習っても、忘れた・わからない、という方が多いのですが、しかし、記憶のどこかに結構しつこく残っていて、学校文法に全く触れずに話を始めると混乱を招くことが多いのです。
 今回の教科書を選んだ理由は、学校文法から日本語学で現在主流の文法への橋渡しが行われている、数少ない教科書だから、というのが、1番大きな理由です。

 他に考えたものには、次のようなものがあります。
・国研の日本語教育指導参考書4・5(寺村秀夫先生執筆)
 独習もできるし、基本がしっかり考えられるし、とてもいいと思うのですが、何しろ古く、絶版状態。定評ある本なので図書館などで見ることはできますが、教科書指定は無理。
・森山卓郎『ここからはじまる日本語文法』
 最後まで、これにしようか迷いました。とてもいい本です。ただ、練習問題が多く、考えながら先に進んでいこう、という執筆方針で、説明が少なく、解答例もついていないので、通信での独習にはやや厳しいかな、という理由で外しました。問題を考えるための参考文献や論文のリストが充実しているので、この分野で卒論を書こう、という方にはオススメです。
・近藤安月子『日本語学入門』
 説明も丁寧だし、練習問題には解答がついているし、これもとてもいい本です。ただ、英語話者を念頭においた説明としてはベストと思うのですが、学校文法を学んできた日本語母語話者にはわかりにくいところもあるかもしれません。

 現在の教科書の長所は、上述した通りですが、短所というか、物足りない点としては、土曜日も言った通り、時々、用語の定義がラフであること。第1章「品詞」、第15章「文法」などの定義は、もっときっちりおさえておいてほしいなあ。

 あと、学校文法が古典解釈のためのものだった、ということが、具体的にどういうところに表れているのか、読んだだけではよくわからないと思います。・・・考えてみてね。次回質問してみます。

 また、教科書p7「形容動詞」のところですが、形容動詞は動詞ではなく、働きは形容詞、形は名詞に近い、ということを先週お話しました。では、なぜ「形容動詞」などというまぎらわしいネーミングなの? 教科書には「なり」「たり」という動詞型活用語尾がついたものという語源からの発想、とありますが、「動詞型活用語尾」って何?

 他にも、細かいところでいろいろわからないところがあると思います。どこがわからないかわからない、という声が先週は多かったのですが、少しずつ、どこがわからないかわかってきたら、ぜひ質問して下さい。お待ちしています。

 ついに本能寺が終わってしまった・・・ 来週からどうしよう・・・ 回想シーンがあるかもしれないことを心の支えに見続けましょうか・・・ 初音にライバル心(笑)を燃やしていましたが、カッコよかったですね。悲鳴をあげて逃げ惑う女じゃなくて、ああいうふうに、戦える女になりたいな。これも大河の現代化でしょうか?

日本語学入門

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ここからはじまる日本語文法

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