全然OK

 スクーリング講義の補足第1弾は、「副詞」です。

 副詞は、かつて「品詞のくずかご」と呼ばれ、うまく説明できないものは何でもかんでも「副詞」に入れられていた、というかわいそうな品詞です。(同様に、「語用論」も「言語学のくずかご」と呼ばれていました・・・)
 でも、よくよく見てみるとくずかごの中にも面白そうなものが色々あるね、ということで、近年は関心を持たれている品詞でもあります。

 教科書第7章1節にあるように、副詞は3種類に大別されています。このうち、特定の述部や接続助詞と結びつく(呼応する)ものを「陳述副詞」と言います。「全然」という陳述副詞は、本来、否定と呼応するはずなのに、最近、「全然OK」「全然いい」「全然大丈夫」のように肯定文と呼応する用法が現れ、乱れだの誤用だのと話題になっています。

 しかし、詳しくは08年度スクーリング受講生フォルダを見ていただきたいのですが、明治から昭和半ば頃に至るまで、文学作品の中で「全然+肯定」の用例は枚挙に暇(いとま)がありません。
 では、いつ頃から「全然」は否定と呼応する、とされたのか? このあたりは調査がまだ十分ではないのですが、昨年のスクでのグループ発表では、昭和40年代頃ではないか、とされていました。なぜこの時期そのような規範が登場したのか、それについてもさだかなことは未調査なのですが、「全然+肯定」が現代だけのものではないことが分かります。

 現在、「とてもおいしい」「とても優れている」など、肯定文で当たり前に使われている副詞「とても」も、以前は、否定と呼応するのが規範とされていました。「とてもかくても」の縮約形で、「とてもできない」「とても終わらない」など、どのようにしても・・・ない、という意味だったそうです。それが、いつの間にか、肯定の強意に意味・用法が移り変わってきているのでした。

 私が興味を持っている副詞は、話し手の主観を伴う副詞です。「やっぱり」「さすが」「もちろん」など。特に、「やっぱり」は、話し言葉でも多用されます。私自身も、気がつくとよく使っています。今度、データをとって調べてみたいなあ、と思っています。

 ところで、話は変わりますが、カセットテープの録音をデジタル化する何かいい方法、ご存知の方、教えていただけますか? ラジカセで再生しながら、その前にICレコーダーを置いておく、なんてまさか原始的方法ではダメですよね。。。