格助詞のヒエラルキー

 この言葉を初めて聞いた時、私は、格助詞にも身分の序列があるのかとびっくりしました・・・!

 教科書p41の表1には、狭義の格助詞が並んでいますが、この順番は、決してランダムなものではなく、身分の高いものから低いものに並んでいるのです。つまり、格助詞の王様・女王様は「が」「を」。大臣・貴族が「に」「へ」「で」。その下の「と」「から」「より」「まで」は庶民です。

 パワポの「格助詞の階層性」というスライドを御覧下さい。1番左の列に、格助詞が、序列通り並んでいます。
 次の列は、副助詞「は」との関係。「が」「を」は「は」となり、「がは」「をは」とはなりません。つまり、「が」格や「を」格は用言との結びつきが強いので、「は」に置き換わってしまっても、何の格が置き換わっているのか、容易に復元できるのです。次の、「に」「へ」「で」は、「は」に置き換わる場合もありますが、「には」「へは」「では」となることも多いです。「と」以下は、必ず「とは」「からは」「よりは」「までは」となり、「は」単独に置き換わることはありません。用言との結びつきが弱いので、残しておかないと、格の復元が難しくなってしまうからです。

 1番右の列の「の」は、教科書p44-45にある、[2]格助詞+「の」+体言についてです。「アメリカへ旅行する→アメリカへの旅行」「図書館で勉強する→図書館での勉強」のように、「へ」以下はもとの格助詞に「の」がついて体言にかかっていきます。しかし、「が」「を」は例によって「がの」「をの」とならず、「の」だけに置き換わるのです。理由は、「は」の場合と同じです。(なお、「に」には「の」が付けられません。理由をご存知の方、教えて下さい)

 ・・・というように、いくつかの文法的特徴を調べていった結果、格助詞には上下関係、強弱の序列があり、それに基づき、p41のような表が作成されている、というわけです。

 ということで、スク講義補足第2弾でした。
 第3弾はpp48-49の複合格助詞、第4弾はp69接続助詞の独立性(スライド参照)、を予定しています。お楽しみに!?