リポート・論文の書き方

思いつくままに・・・


1)課題をよく読む。教科書や参考文献をあたる。何を論点に書くのか、自分でしっかり把握する。
 例:受身であれば、受身のどのような点について分析するのか。動作主の格(ニ・ニヨッテ等)、迷惑の意味の有無か、直接・間接・持ち主の分類か、などなど。全てを論じることは限られた枚数ではできないので、どれを中心にするか、はっきり決める。とりとめもなくだらだら書かない。


2)用語をしっかり定義する。
 教科書はじめ、複数の文献にあたってみる。辞典・事典類も大いに利用したい。一般的な国語辞典ではなく、文法事典・日本語教育用語事典など専門用語の辞典・事典にあたること。定義を引用する場合は、必ず出典を明記する。
 用語の定義そのものがまずひじょうに困難な場合もある(例:敬語)。その場合は、代表的な定義または自分の考えに最も近い定義を暫定的に、仮の定義として、とりあえず論を始めてみる。論を進めるうちに、その定義ではマズイ点が出てきたら、その時点で修正すればよい。もちろん、どこがどうマズイから修正するのか、きちんと明記すること。


3)出典を整理し、自分の考えを練る。
 複数の文献の単なる寄せ集めでは、必ずどこかかみあわない部分が出てくる。
 まず、共通項を整理する。おそらくそれが通説。一般的に受け入れられている部分。これはいわば常識(?)なので、あえて出典を述べたてなくともよい。
 次に、文献によって異なる部分は、それぞれの著者の立場なので、このいずれかに言及する場合は、出典を明記する必要がある。
 そして、これらに基づき、自分の考えを練る。


4)構成を考える。
 序論・本論・まとめ、の3段構成が書きやすい。
 序論は前置き。1)で考えた、このリポートないし論文では、何を主眼に述べるのかを明示する。結論を最初に述べてしまってもいい。
 本論は、いくつかに更に分かれる。結論を導くまでの裏付け・道のり。何をどう考えたか。どの文献にどう述べられていたか。どのデータからどのような結果が得られたか、など。
 まとめで、結論を述べる。
 感想は書かなくてもよい。よくあるのは、「正しい日本語を身につけたいと思った」「美しい日本語を伝えていきたいと思った」「今まで文法が嫌いだったが、意外に面白かった」。日本語の正しさ・美しさ、文法の面白さ、などについて論じてきたわけではない。
 全体のバランスも大事。全部で6枚なら、序論とまとめは各1枚程度におさめたい。


5)下書きをする。
 指定字数を守る。短すぎる場合は、何か必要な点が落ちている可能性が高い。指定が6枚なら、6枚目のどこかで終わるのが望ましい。長すぎる場合は、余計な部分があるはずなので、そこを削る。かな書きを漢字にする、読点(、)を削る、など小手先の手段でも随分削れる。指定が6枚なら、決して7枚目に行ってはいけない。但し、注や参考文献は別にカウントしてよい。


6)チェックする
 2、3日寝かせて、あらためて読み直してみるとよい。予想に多くのミスや矛盾点に気付くことができる。ワープロで作成した場合も、プリントアウトして読んでみること。友人や家族に読んでもらって、わかりにくいところを指摘してもらうのもいい。
 誤字・脱字にも注意。
 挿入や削除といった作業はこの段階で済ませておくこと。


7)清書する
 修正箇所が多くなりすぎた場合は新しい用紙に書きなおすこと。修正液は、1枚につき2、3箇所まで。それも、小さな修正(漢字の一部を修正するなど)に限る。何マスにもわたって直す場合は、新しい用紙に書きなおすこと。
 あとから挿入したり、削除したり、というのは、下書きの段階でやっておくこと。その必要が生じた場合は、新しい用紙に書きなおす。


8)最終チェック
 清書してからさらに2、3日寝かせて再度読み直す。
 論に矛盾や飛躍はないか。誤字・脱字はないか。指定字数は守れているか。参考文献をきちんと挙げられているか。


9)提出
 とじ方や切手貼付など、指定をよく守ること!


 しめきりぎりぎりに駆け込みで書いて読み直しもせず提出しても、必ず不備な点があり、再提出の判定になる可能性がひじょうに高い。それよりは、時間的に余裕をもって、しっかり取組んで提出してほしい。