フリージャーナリストとNGO

 先日、アジアプレス代表の野中章弘さんの講演を聞きに行きました。
 アジアプレスとは、アジアのフリージャーナリスト集団です。アグスも、生前、ここに所属していました。


 国際関係NGOの広報を対象としたお話で、フリージャーナリストといろいろ重なる部分がある、というところから説き起こしていかれましたが、いろいろ耳の痛い指摘もありました。


NGO活動が公的資金に頼る割合が高くなっている。これはきわめて危険なこと。政府に物が言えなくなる。
・日本でNGO活動が始まって30年ほどになるのに、相変わらず資金難に苦しんでいる。これは、市民社会を基盤としているはずのNGOが、市民社会にきちんと根付いていないことの証左ではないか。
NGOの広報は横並びで、違いがわからない。良いことしか書いていない。


 1番興味深かったのは、フリージャーナリストは食うことをあきらめるしかない、伝えたいことを伝えることと食うことの両立は無理と腹をくくる、週に1回食わせてくれる友達が7人いれば1週間食える、食うために不本意な取材をするよりもそんな人間関係をもっていることのほうが豊かな人生である、というくだりでした。


 ネットだ情報化社会だと言っても、基本は、人と人の、直接目を見交わし声を交わす触れ合いにある。あたりまえのようですが、あらためてひしひしと考えさせられる講演でした。

ジャーナリズムの可能性 (ジャーナリズムの条件 4)

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